東京家庭裁判所 昭和52年(家ロ)4号 審判 1977年1月28日
申立人 長谷川ユキエ(仮名)
事件本人 竹田かつ子(仮名)
未成年者 竹田直子(仮名) 外三名
主文
一 当庁昭和五一年(家)第九三三六号ないし同第九三三九号親権喪失宣告申立事件の審判確定に至るまで、事件本人竹田かつ子の未成年者竹田直子、同竹田幸夫、同竹田久子及び同竹田忠夫に対する親権行使を停止する。
二 右期間中、右未成年者四名に対する親権者の職務代行者として、申立人を選任する。
理由
一 申立人は、昭和五一年一二月一四日当庁に対し事件本人の親権喪失宣告を求め、更に昭和五二年一月二四日主文同旨の審判前の仮の処分を求めた。
親権喪失宣告の申立の実情及び本件仮の処分の申立の実情は別紙のとおりである。
二 よつて案ずるに、記録によれば、(一)事件本人は昭和三五年六月二三日申立外竹田勇と婚姻し、その間に未成年者竹田直子、同幸夫及び同久子をもうけたが、右竹田勇は昭和四三年六月二二日死亡し、事件本人が右三名の単独親権者となつたこと、並びに(二)事件本人はその後他の男性と関係して未成年者忠夫を出産し、その親権者となつたこと、がそれぞれ明らかである。
三 ところで、申立人が事件本人の親権喪失を求める実情として主張する事実の存否及び親権喪失宣告をすべきか否かについては、慎重な審理及び判断を要し、現段階でにわかには決しえないところであるが、現時点における資料並びに申立人に対する審問の結果によると、(一)事件本人は昭和五〇年一一月頃未成年者らの許を去り、現在特定の男性と同棲しているごとくであるが、その所在が判明せず、その後申立人が未成年者四名を引き取つて現に養育していること、並びに(二)事件本人は未成年者直子、幸夫及び久子とともに前記竹田勇の相続により取得した群馬県○○郡所在の土地を第三者に売却し、買主からその売却代金(分割払)の支払を遂次受けて、これを自己のみで費消しており、今後も同様に受領して費消してしまうおそれがあること、が窺えるところである。
そうすると、未成年者らの利益のためには、本件親権喪失宣告事件の審判確定に至るまで、事件本人の親権行使を停止し、かつその職務代行者として申立人を選任するのが相当である。
よつて、家事審判規則七四条一項により、主文のとおり審判する。
(家事審判官 岩井俊)